2024年1月11日(米国2024年1月4日発表)- オンセミ(本社: 米国アリゾナ州スコッツデール、Nasdaq:ON)は、DC超高速電気自動車(EV)充電器およびエネルギー貯蔵システム(ESS)向けの双方向充電機能を実現する9種類の新しいEliteSiCパワー統合モジュール(PIM)を発表しました。これらのシリコンカーバイド(SiC)ベースのソリューションは、従来のシリコンベースのIGBTソリューションと比較してサイズを最大40%、重量を最大52%削減できる高効率でシンプルな冷却機構により、システムコストを大幅に改善します。よりコンパクトで軽量な充電プラットフォームにより、設計者は、わずか15分で電気自動車のバッテリを最大80%充電可能で、信頼性と効率が高く、スケーラブルなDC急速充電器ネットワークを迅速に展開するために必要なすべての主要ビルディングブロックを入手できます。
J.D. Powerの2023 Electric Vehicle Consideration Study(2023年 米国EV検討意向調査)によると、米国の消費者の半数近くが、EVを購入しない理由として、従来の内燃機関(ICE)車並みに簡単でシームレスな運転体験が得られる充電設備へのアクセスと迅速な充電に対する不満を挙げています。米国では、需要に追いつき、ドライバーが公共充電ステーションを公平に利用できるようにするには、EV充電器の利用可能台数を2025年までに4倍、10年後までに8倍に増やす必要があります1。
このような電力需要の急増は現在の電力網に多大な負担をかけ、過負荷になる可能性があります。この問題を軽減するために、通常のバッテリ充電とEVをエネルギー貯蔵システムとして使用し、必要なときに家庭に電力を供給できるようにするV2G(vehicle-to-grid)を実現するための重要なソリューションとして、双方向充電が登場しました。このソリューションは、DC急速充電ネットワークとV2Gの給電システムの実現に役立ち、数時間から数日かかる他の方法よりも高速で車両を充電できるため、充電設備へのアクセスと充電速度の課題に対応できます。
オンセミは、市場の主要なトポロジーに対応するために、最も包括的なPIMのポートフォリオを提供しています。これにより設計者は、DC急速充電アプリケーションやエネルギー貯蔵システムアプリケーションでの電力変換ステージに適したPIMを柔軟に選択することができます。また、オンセミのセルフサービスPLECSモデルジェネレータによる高度なPLECS(piecewise linear electrical circuit simulation)モデルと、Eliteパワーシミュレータによるアプリケーション・シミュレーションの使用により、設計サイクルを加速させることができます。
オンセミは、一貫性と信頼性を確保するため、各モジュールに同じウエハーからのダイを使用しています。これにより、設計者は別のサプライヤから供給されるディスクリート製品を使用する必要がなく、性能にばらつきが生じる可能性はありません。このモジュールのポートフォリオには、信頼性に加えて以下のような利点があります。
- 業界で最も低いスイッチング損失と最高の効率を実現するGen3 M3S SiC MOSFET技術を使用
- マルチレベルTタイプ中性点クランプ(TNPC)、ハーフブリッジ、フルブリッジなどの主要トポロジーをサポート
- 25kWから100kWまでのスケーラブルな出力電力をサポートし、双方向充電を含む複数のDC急速充電およびエネルギー貯蔵システムプラットフォームを実現
- 熱界面材料(TIM)の事前塗布および圧入ピンのオプションを備えた業界標準のF1およびF2パッケージ
- 最適な熱管理を可能にし、過熱によるシステム障害を回避
- フルSiCモジュールは電力損失を最小限に抑えて省エネを実現することで、コストとエネルギーを節約
- 高い堅牢性と信頼性による安定した動作を実現
関連情報:
¹ S&P Global Mobilityの予測による