十二月 28, 2023

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はじめに

テクノロジーが進化し続ける中で、人間とロボットの関わりもますます増えていくでしょう。近所のコーヒーショップで朝のコーヒーを淹れる協働ロボット(cobot)から、倉庫内を歩き回って荷物を選ぶ自律走行ロボット(AMR)まで、私たちの日常生活の中で協働ロボットを活用できる場面が数多くあります。

オンセミは、自社の革新的な製品を使用する包括的なロボット設計であるサブシステムソリューションから開発された自律移動ロボットのデモ機を開発しました。このコンセプトを使用して、オンセミの多様なセンシングソリューションやインテリジェントパワーソリューションを組み合わせて、さまざまなタイプのロボット、コボット、電動工具、自律走行車を設計することができます。このブログでは、自律走行ロボットの今後についてさらに洞察を得るために、オンセミの産業用ビジネス開発およびソリューション担当のテオ・カーシェス(Theo Kersjes)にインタビューした内容をご紹介します。

 

1. オンセミには、オンセミソリューションのさまざまなサブシステムによって製作された自律走行ロボットがあると聞いています。該当する各サブシステムについて、簡単に教えていただけますか?

オンセミオンセミ製品に関連する評価ボード(EVB)や開発プラットフォームを製造しています。これらのプラットフォームは、モーションセンサ、電源照明通信のAMRサブシステムで使用されます。これらのサブシステムは制御ユニットと共に自律走行ベースを形成します。自律走行ベースは、自体の環境をナビゲートし、必要に応じて衝突回避機能を使用して、障害物周辺の経路を安全に変更することができます。オンセミの最新EVBをアップグレードして使用したり、カメラなどのいくつかのカスタマー製品を搭載できるようするために、AMRはEVBの取り付けにはDINレール、センサの取り付けにはボールヘッドマウント¼-20を使用します。以下、各サブシステムで注目されるオンセミ製品をいくつか紹介します。

照明

照明サブシステムは、AMR の状態、ステータス、意図を周囲の人々に伝えます。スマート小売在庫アプリケーションでは、照明を使って暗い店内の商品を照らすこともできます。NCV7685リニア電流ドライバおよびNCL31000は、可視光通信機能と屋内測位EVB機能を備えたインテリジェントLEDドライバです。

 

モーション
 モーションサブシステムには、オンセミの3相ゲートドライバNCD83591、パワーレギュレータNCP730、およびBLDCモータ駆動用の最新のトレンチ10 MOSFET  NVMFWS0DxN04XMソリューションが含まれています。

 

センサ
 センササブシステムでは、イメージセンサAR0234およびAR1335、角度誘導型位置センサNCS32100、超音波センサNCV75215が使用されています。

 

電源
 電源サブシステムでFAN65008Bは集積パワーMOSFETを備えたPWM降圧レギュレータであり、48VバッテリからAMRに必要な電力レベルを生成します。FAN65008Bは、OCP、TSD、OVP、UVP、SCPなど、多数の保護回路を内蔵しています。電源サブシステムには、ブリッジレス・トーテムポールNCP1681およびe-Fuse  NIS3071に基づくバッテリ監視および超小型充電ソリューションと電流監視が内蔵されています。

 

通信
通信サブシステムには、MAC、PLCA、およびRS(リコンシリエーション副層)を含むマルチドロップIEEE 802.3cg準拠イーサネット10Base-T1SトランシーバNCN26010があります。10Base-T1Sは、すべてのサブシステムをリンクするAMRのバックボーンです。最後に、制御ユニットとしてNVIDIA® Jetson™が使用されています。これは、ドッカーコンテナとして実装されたロボットオペレーティングシステム(ROS)におけるオンセミのサブシステムの優れた統合例を示しています。

オンセミの自律走行ロボット用サブシステム
オンセミの自律走行ロボット用サブシステム


2. 自律走行ロボットに追加されたオンセミ製品とその機能について教えていただけますか?

前述のとおり、新製品や新機能を追加できるように、DINレールを使用してオンセミAMRを作成しました。来年のテーマの一つはセンサフュージョンです。センサフュージョンには、イメージセンサ、超音波センサ、Time of Flight (ToF) LiDARセンサ、角度誘導型位置センサなど、さまざまなセンサモダリティがあり、連携して視覚認識を実現します。さらに、継続的なテーマは、オンセミの新しい電子ヒューズ製品e-Fuse NIS3071での電源サブシステムの拡張による安全性です。

 

3. ロボットを製作する際に、設計者が直面する課題は何でしょうか?オンセミのサブシステムソリューションは、これらの課題に対処するためのシンプルな統合をどのようにして可能にしますか?

 

これは私にとって最も重要な質問の一つです。例えば、私たちはオンセミ製のイメージセンサとLiDAR技術を自社のカメラシステムに統合し、イメージセンシングと深度知覚の融合をすべて1つのシステムで実現している企業と協業しています。これらの企業をどのようにサポートし、いかにして当社製品の外部で発生し、将来的に当社製品に導入される可能性があるアルゴリズムや機能を理解し、明確にするかです。

 

ロボット設計者についても同じです。オンセミのAMRを作成することで、ROS(ロボットオペレーティングシステム)環境を実行するNvidia Jetsonがどのように使用され、どのレベルのドライバが必要かを知ることができました。また、Nvidia Omniverse™、Isaac Sim™ - ロボット工学シミュレーション、および合成データを探究することができます。シミュレーション環境は安全なAMR設計の鍵となります。シミュレーション環境は、移動ロボットが安全に回避する必要がある障害物を表す syntectica データに基づいて移動ロボットをトレーニングするのに使用されます。これらのシミュレーション環境を使用して、最も電力効率の高い経路をナビゲートし、バッテリ充電の間隔を延ばしたり、AMRサブシステムの電力効率とインテリジェントなセンシングによってオンセミの優位性を生かすオポチュニティチャージングを使用したりすることもできます。

 

4. ロボット市場は急速に進化していますが、5 年後のロボットはどうなるのでしょうか?どのような進歩があると思いますか?

この時点では補助輪が外されているかもっと良くなっています。AMR は安全効率も高いので、AMRの物理的な障壁はなくなり、人々の周囲を自由に移動できます。倉庫やオフィス環境で照明が制御され、床も水平になっているなど、環境は依然として制御されています。AMRは人々がそうであるように、どんな環境にも対応できるよう進化するでしょう。さらに、真の導入の柔軟性が重要な特徴です。これには、ロボットに何をするかをプログラミングなしで指示したり、ロボットをトレーニングするためのインタフェースが必要です。NLP(自然言語処理)、スマートで効率的なハードウェアセンサ、そして電力と制御における進歩が、一般的なタスクのためにAMRに統合されます。ロボットは、ある瞬間にはCNCマシンを操作し、別の瞬間には製品を梱包するかもしれません。例えば、農業の現場では、あるAMRが草取りをし、別のAMRは完熟野菜を収穫し、出荷に備えて梱包することもあるでしょう。

5. 気に入ったAMRの機能は何ですか?製作工程での楽しいエピソードなどはありますか?

オンセミAMRの製作工程では、色々なことがありました。ある時、メカナムの車輪を間違ってランダムに取り付けたため、実際に稼働させたとき移動ロボットが非常におかしな動きをしました。車輪が正しく取り付けられているシミュレーション環境では正常に動作していました。また、組み立て工程中にモータ巻線の接続部が露出してアルミニウムに接触したため、逆起電力が発生し(影響を受けたホイールが回転しなくなった)、エンジニアはホイールが回転しない理由が理解できず、ホイールのベアリングを分解したこともありました。これは新人エンジニアがチームに加わる際に、EMFの楽しい学習の場になりました。オンセミでは、多数のさまざまなエンジニアがサブシステムの開発に携わっています。これらを一台の自律走行ロボットに統合できたことは、全員にとって素晴らしいことでした。 


オンセミの自律走行ロボット
オンセミの自律走行ロボット


結論:ロボット産業は私たちの日常生活において、絶えず効率および信頼性の向上を実現しているため、オンセミは継続してAMRに実装可能な技術の開発を行います。モーションセンサ電力照明、および通信サブシステムが、自律走行ロボットの構成要素です。各サブシステムの詳細については、オンセミのサポートにお問い合わせください。

オンセミの自律走行ロボットソリューションのページをご覧ください。

その他の技術資料:


テオ・カーシェスについて

Theo Kersjes

半導体業界で製品管理、マーケティング、アプリケーションにおいて 25年以上に及ぶ国際的な経験を持つテオは、現在、オンセミのアドバンストソリューションズ・グループで産業用ビジネス開発およびソリューションを担当し、パワーおよびセンシングソリューション向けプロダクト・ディファイナーとアプリケーションエンジニアのチームを管理しています。 

デジタルビデオおよび信号処理アプリケーションの仕事からキャリアをスタートし、やがてオランダからサンノゼ・ベイエリアに移住し、ブロードバンドアクセス、ワイヤレスコネクティビティ、デジタル電源ソリューションに取り組みました。その後、スタートアップ企業に入社し、独自の60Ghzワイヤレスコネクティビティ製品を開発し、また産業用海洋ROV向けソリューションを設計しました。オンセミでは、BLDCモータ制御、イメージセンサ、LED照明ドライバ、電力変換、コネクティビティソリューションを搭載するオンセミ製品開発プラットフォームから、自律走行ロボット技術のデモ機を製作しました。

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